撮影中にカメラのレンズが曇る原因と対策!結露の仕組みを理解しよう

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

カメラのレンズが曇る原因と対策!結露の仕組みを理解しよう カメラ基礎知識

星景や夜景撮影をしている際にカメラのレンズが結露し曇ってしまった経験はありませんか?特に気温が低い冬にレンズが曇る事が多いのですが、冬以外の季節でも条件が揃うと結露を起こしレンズが曇ってしまいます。

常にレンズヒーターを持参していれば結露対策はできるのですが、油断していると気付かないうちにレンズが曇り、写りに悪影響を与えてしまうので注意が必要です。

今回は、結露の仕組みと撮影中に発生するレンズが曇る原因と対策を詳しく解説します。

カメラのレンズが結露して曇る原因

カメラのレンズ以外にも、日常生活で眼鏡が曇ったりや窓ガラスが結露したりするので、何となく原因は理解できていると思います。しかし結露の仕組みをしっかりと把握することで、撮影中のレンズの曇りを上手く回避することが出来るようになります。

結露が発生する仕組み

結露の仕組みを簡単に説明すると、水蒸気を含んだ空気が、より温度の低いガラスなどの表面に触れ、急に冷やされることで飽和水蒸気量の限界を超えた空気中の水蒸気が凝結して、表面に水滴となる現象のことです。この水滴が結露の正体で、カメラのレンズが曇る原因となります。

飽和水蒸気量と露点温度

飽和水蒸気量とは、1立方メートルの空気中に含むことができる最大の水蒸気量のことで、空気の温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができ、逆に温度が低いと飽和水蒸気量はが少なくなります。飽和水蒸気量の限界を超えて水滴となり結露し始める温度を露点もしくは露点温度と言います。

レンズが曇る仕組み:飽和水蒸気量と露点

同じ水蒸気量の場合の露点の変化と結露

上図の例を見ると、同じ水蒸気量のまま温度が下がると露点に達し結露が発生し始め、更に温度が下がると水滴量が増え結露しやすくなることが分かります。

湿度と露点温度の関係

また、水蒸気を多く含んだ湿度が高い時は、露点となる温度差が近くなるので少しの変化でも結露しやすくなり、逆に乾燥していて湿度が低い時は、露点となる温度差が大きくなるので結露しにくくなります。

物質の表面温度は、直射日光が当たっていなければ通常は気温よりも少し低くなっていて、カメラのレンズも同様に、特に夜景や星景撮影など夜間になると気温も下がり続け温度差が発生しやすくなる為、レンズ表面に触れた湿った空気が冷やされ水滴となりレンズの曇りの原因となります。

結露が発生する露点温度表

湿度が80%以上あると、露点温度と気温との差が少なくなり結露が発生しやすくなります。また、気温が低くなる程、温度差が少なくなり、より一層結露する確率が高くなります。

以下の表の温度が露点温度になり、レンズの表面温度が露点温度以下になれば、曇るという事です!

露点温度表
湿度
気温 60% 70% 80% 90%
5℃ 0℃ 1.8℃ 3.5℃
10℃ 2.6℃ 4.8℃ 6.7℃ 8.5℃
15℃ 7.3℃ 9.6℃ 11.6℃ 13.4℃
20℃ 12℃ 14.4℃ 16.4℃ 18.3℃
25℃ 16.7℃ 19.2℃ 21.3℃ 23.2℃

例えば、気温5℃で湿度が90%の場合、レンズの表面温度が3.5℃以下になると結露して曇ります。気温20℃で湿度が90%の場合でも、温度差が僅か1.7℃しかないので、曇りやすい状況と言えます。冬でなくても湿度が高い春や秋でもレンズの曇りが発生するので油断は禁物です!

参照:https://www.monohakobi.com/ja/tool/(単位変換ツール – 株式会社MTI)

カメラのレンズの曇り対策

夜景や星景撮影に夢中になっていると、気付かないうちにレンズが曇り、写りに悪影響を与えてしまう場合があるので、結露対策は十分に行うように心掛けたいところです。

カメラのレンズが曇ったら拭き取れば良いのですが、一旦曇り始めると直ぐに曇ってしまい撮影に集中できなくなってしまいます。特に長い時間をかけるタイムラプス撮影中にレンズが曇ってしまうと、全てが台無しになるのでレンズの曇りは要注意です。

レンズヒーターを使う

レンズの曇り対策に一番有効なのがレンズヒーターを使うことです。レンズが冷たくなることで結露が発生しやすくなるので、レンズヒーターを使ってレンズを温めることで曇りを防止することができます。

市販されているレンズヒーターのほとんどはモバイルバッテリーにUSB接続して使うタイプで、値段も2000円程度とお手頃なので、持っていて損はないカメラグッズの一つです。

レンズヒーター自体は軽量でコンパクトに収納でき、消費電力も少ないので、モバイルバッテリーも小さいもので十分です。星景撮影の際はレンズヒーターとモバイルバッテリーを常に持っていくと心強いかと思います。

天気予報の露点温度をチェックする

一部の天気予報には露点が掲載されている場合もあるので、撮影の時間帯の気温と露点温度をチェックしてレンズが曇りやすいかどうかを判断することができます。

露点が掲載されている天気予報サイト ⇒ AccuWeather

天気予報の露点温度をチェックする

天気予報の気温と露点温度をチェックする事でレンズが曇りやすいかの予測ができる

上記の例だと、気温11℃で、露点が9℃、10℃と温度差が僅かな為、レンズがかなりの確率で曇る事が予測できます。

レンズ内部やカメラ本体の結露は更に要注意!

寒い場所で撮影してカメラが冷えた状態で、いきなり暖かい室内に持ち込むと、カメラ本体の内部やレンズの内側が結露する危険性があるので注意が必要です。また、暖かい場所から急に寒い場所へカメラを持っていくと同様に内部が結露する場合があります。

カメラやレンズ内部の結露はダメージが大きい

実はレンズの外側が曇るよりも、レンズやカメラの内部の結露の方が注意が必要です!

レンズ内部が結露してしまうと拭き取ることができず、放置してしまうと最悪の場合は、カビ発生の原因となってしまいます。

また、カメラ本体が結露した場合も同様に内部にカビが生えたり、回路など金属部分の錆や腐食の原因となり、不具合や故障する場合もあるので注意が必要です。

急激な温度変化は避けるべし!

寒い場所で撮影した後は、カメラに急激な温度変化がないように、徐々に同じ温度になるようにして結露を防ぐことが重要です。

例えば、冷え切ったカメラを車内に持ち込む場合は、暖房で温かくなりやすい室内よりは、トランクに入れたほうが急激な温度差を避けることができます。

また、家などの室内に冷え切ったカメラを持ち込む場合は、カメラをバッグに入れたまま、少し気温の低めの玄関などにしばらく置いてから、次に部屋に持ち込むようにするのがおすすめです。

バッグに入れたままにするのは、バッグ内には空気の層がある為、急激な温度変化を防ぐことができ、より結露の発生を抑える働きがあるからです。

まとめ

レンズが曇ると言うのは、寒い冬だけのイメージがあるかもしれませんが、湿度の高い夜間は季節を問わずに注意が必要です。結露するメカニズムを理解して、天気予報を活用すれば、レンズの曇りに悩まされることが少なくなるかと思います。