レモン彗星(C/2025 A6)は2025年1月にアメリカのレモン山天文台で発見された緑色に輝く彗星で、当初は暗い彗星でしたが、徐々に増光し地球に最接近する10月下旬頃からは肉眼でも見えるほどの明るさになる可能性が高くなり注目を集めています。
今回は、レモン彗星(C/2025 A6)の見頃の日時や方角、撮影方法などをまとめてみました。
レモン彗星の見える方角と見頃の時期
レモン彗星(C/2025 A6)は2025年10月中旬頃から明るくなると予想されていて、10月21日が近地点(地球に一番近い所)を通過し、11月8日に近日点(太陽に一番近づく所)を通過する予定です。
レモン彗星(C/2025 A6)の明るさはピーク時で4等前後と予測されていて、暗い場所であれば肉眼でも見られる可能性があります。ただし、彗星の明るさは予測が難しいので予測よりも暗くなる可能性も十分にあります。
2024年の紫金山・アトラス彗星の明るさが3等前後程あったので、レモン彗星(C/2025 A6)のほうが若干暗い予想ですが、何とか肉眼でも見えることを期待したいです。
10月上旬から中旬【未明の北東】
見頃度 ★☆☆
2025年10月上旬頃は未明の北東付近の低空にレモン彗星(C/2025 A6)が現れ、徐々に東へ移動しながら上昇する軌道です。日を追うごとに見え始める位置が北へ移動し、見え始める時間が朝方近くになっていきます。
まだ、レモン彗星の明るさが十分ではないので、肉眼で見る事はできません。

2025年10月13日2時30分頃のレモン彗星の見え方

2025年10月13日5時頃のレモン彗星の見え方
10月中旬から【日の入り後の北西、未明の北東】
見頃度 ★★☆
2025年10月15日頃から、日の出前の北東だけでなく、日の入り後の北西付近でもレモン彗星(C/2025 A6)が見られるようになります。
徐々にレモン彗星が明るくなりはじめ、肉眼でも見えるかも!?
日の入り後の北西
10月15日頃から日の入り後の北西付近にレモン彗星が現れ、徐々に北へ移動しながら下降する軌道です。日を追うごとに見え始める位置が、西へ移動し高度が高くなり、観測できる時間が長くなります。

2025年10月15日18時頃のレモン彗星の見え方
10月20日になると見え始める高度が高くなり、沈むまでの時間が長く観測しやすくなります。

2025年10月20日18時頃のレモン彗星の見え方
未明の北東
10月中旬頃は未明から日の出前の北東付近から現れ、徐々に東へ移動しながら上昇する。日を追うごとに見え始める位置が北へ移動し、見え始める時間が朝方近くになり観測できる時間が短くなります。また、若干の月明かりの影響もあるので、観測はしにくいかもしれません。

2025年10月15日2時30分頃のレモン彗星の見え方
10月20日になると見え始めるのが4時頃からとなり、観測できる時間はごく僅かとなります。

2025年10月15日4時15分頃のレモン彗星の見え方
近地点10月21日から26日位まで【日の入り後の西北西~西】
見頃度 ★★★
2025年10月21日はレモン彗星が地球に最も近づく近地点を通過し、明るさも更に増してくると予想されます。
10月21日からも日の入り後の西北西付近でのレモン彗星が見え始め、徐々に北へ移動しながら下降する軌道です。日を追うごとに見え始める位置が、西へ移動し高度が高くなり、観測できる時間が長くなります。

2025年10月21日18時頃のレモン彗星の見え方
10月26日になると見え始める方角が西付近になり、高度も上昇するので沈むまでの時間が長く観測しやすくなります。

2025年10月26日18時頃のレモン彗星の見え方
10月27日から満月頃【月明かりの影響大】
見頃度 ★☆☆
10月27日以降は月明かりの影響が出始める時期で、満月までの間は観測するのは難しくなってきます。また、見え始める高度も徐々に低くなり、日を追うごとに観測できる時間も短くなってきます。
10月30日になると月の照度が50%程に上昇し、月の入り時間も23:30頃になり、レモン彗星の観測は難しくなりそうです。

2025年10月30日18時頃のレモン彗星の見え方
近日点11月8日前後【日の入り後の西】
見頃度 ★★★
2025年11月8日はレモン彗星が太陽に一番近づく近日点を通過します。彗星は近日点の前後が一番明るくなると言われていて、通過後は徐々に暗くなり始めます。
満月の3日後の11月8日は月の出が18:30頃となり、レモン彗星を観測する最後のチャンスが到来します。レモン彗星の明るさが3等以上になれば、薄明でも肉眼で見る事ができそうですが、どうなるかは誰にもわかりません。
11月8日の日の入り後の西南西付近でのレモン彗星が見え始め、徐々に西へ移動しながら下降する軌道です。南西にある天の川とのコラボレーションも期待できます!

2025年11月8日18時頃のレモン彗星の見え方
レモン彗星(C/2025 A6)の正確な位置を確認する方法
レモン彗星の見える正確な方角や高度を確認するには、星空、天の川や月の位置が分かる無料アプリStellariumのデスクトップ版(Windows & Mac対応)が便利です。
Stellariumにレモン彗星(C/2025 A6)を追加する手順
Stellariumのデフォルトでは、レモン彗星(C/2025 A6)が表示されないので、以下の手順で無料のプラグインを追加する必要があります。
① Stellariumを起動させ、画面左側のナビにある【設定画面】をクリック
② 小ウィンドウが開くので、上部アイコンの一番右にある【プラグイン】を選択
③ 左一覧から【太陽系エディター】を選択し、【設定ボタン】をクリック
④ 小ウィンドウが開くので、真ん中タブの【太陽系天体】を選択し、【 MPCフォーマットで軌道要素を取得…】をクリック
⑤ 小ウィンドウが開くので【オンライン検索】タブを選択し、「C/2025 A6」と入力し【検索】ボタンをクリック
⑥ C/2025 A6(Lemmon)が表示されるので、チェックを入れ選択状態にしてから、【天体の追加】ボタンをクリック
これでレモン彗星がStellariumに追加されました!
レモン彗星(C/2025 A6)の表示確認方法
① 先ほどの追加作業で開いた小ウィンドウを閉じ、画面左の【検索画面】からレモン彗星(C/2025 A6)を表示させます。
② 天体タブまま、入力窓に「C/2025 A6」と入力すると、候補が表示される
③ C/2025 A6(Lemmon)を選択
そうするとレモン彗星がどの位置で見れるのかが簡単に確認することができます。レモン彗星が地表面の下に隠れている表示されない場合は、【日付/時刻】の設定で、日付や時間を変える事で、見えるようになります。
レモン彗星(C/2025 A6)の撮影方法
レモン彗星(C/2025 A6)の撮影方法は、基本的に夕景や星景写真の場合と一緒で大丈夫です。
カメラ機材
- 一眼カメラ
- 三脚
- レンズ:f2.8以下の明るい標準から望遠レンズ
- レリーズ・リモコン
- 赤道儀(望遠レンズを使用するなら)
レンズ
レンズは超広角や魚眼だとレモン彗星が小さく写ってしまい迫力がなくなるので、できれば広角24mmや35mm、標準50mm、もしくは中望遠80~90mmのレンズがおすすめです。
風景とレモン彗星を一緒に撮るなら焦点距離は24mm、35mm、50mm、85mm程度のレンズなど、彗星だけを大きく写すのであれば200mm程度の望遠が良さそうです。
標準から中望遠の焦点距離でレモン彗星を撮影するとなるとシャッタースピードはかなり短くなるので、f2.8以下の明るいレンズがあった方が撮影はしやすくなります。
カメラ設定
レモン彗星を固定撮影する際のカメラの設定は、撮影時の明るさやレンズの焦点距離によって設定が変わってくるので、ヒストグラムで露出(明るさ)を確認して、微調整するのが良いかと思います。
薄明の時間帯であれば、夕景や朝景を撮るような設定で問題ありませんが、星がみえるような暗さの場合は、以下の様な星景撮影と同じ設定で撮る必要があります。
- シャッタースピード:2~10秒前後
- ISO: 3200~12800位
- 絞り: 開放(低い値)
- マニュアルフォーカス
焦点距離が長い望遠レンズは、シャッタースピードをかなり短くしないと彗星以外の星が線状になってしまうので、赤道儀を使用して追尾撮影する必要があります。レモン彗星の動きはほぼ日周運動と同じなので赤道儀で追尾してもブレると言った問題はないかと思います。
星景撮影のプランを立てる際に便利なアプリ『PhotoPills』が便利

まとめ
なかなか見る事の出来ない貴重な彗星ですが、去年の2024年の紫金山・アトラス彗星に続いて、2025年はレモン彗星が見られそうです。レモン彗星が見える時間帯が主に夕方で、高度も低めなので景色と絡めた撮影も楽しめそうです。
また、レモン彗星と同時期にオリオン座流星群も活発になるので、流れ星とのコラボレーションも期待できそうです。
おすすめの撮影時期
- 近地点頃:10月21日~26日 日没後の西北西
新月期で月明かりの影響がなく、観測しやすい - 近日点頃:11月8日~数日間 日没後の西
天の川とのコラボも可能