ISO Invarianceカメラなら星空撮影で露出アンダーになっても問題ないか実験してみた

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カメラ基礎知識

世界の一眼レフカメラの一部ファンの間で数年前から少しずつ話題になっているISO Invarianceと言うのをご存知でしょうか? 今までの常識では星空・星景撮影ではISO感度は3200前後が必要とされていましたが、ISO InvarianceカメラならISO以外は同じ設定で撮れば、感度が100でも3200でも、RAW現像で露出補正するとノイズ量はほぼ同じ結果になると言うものです。

日本語ではまだ誰も解説されていないようなので、今回はD750でテストした実写サンプルと一緒に解説したいと思います。

ISO Invarianceとは?

ISO Invarianceとは、直訳すると『ISO不変性』と言う意味で、ISO感度の数値に関わらずノイズ量は不変で変化しないというもので、ISO Lessとも言われています。

露出アンダーの写真を現像段階で露出補正で明るくすれば、当然、暗い部分のノイズは少なからず発生します。しかし、絞りやシャッタースピードは全く同じで露出アンダーにならないようにISOの数値を上げて撮影したらどうなりますか?

ISO感度を上げるのでノイズ量が増えるような気がしますが、ISO Invarianceのカメラなら前者と後者ではノイズ量にあまり変化がないというもの。

※ISO Invarianceが有効なのはRAWデータの場合で、JPGデータでは露出補正が上手くできずノイズ量が増えたりします。

D750でISO Invarianceの実写テスト

実際にニコンD750で星景を撮影してISO Invarianceのテストをしてみました。新月近くで光害がほぼない暗い場所での撮影です。

テストの方法は、絞りとシャッタースピードは固定で、ISOの数値を200、400、800、1600、3200、6400で撮影してRAW保存します。LightroomでISO6400を基準にして露出補正をEV+5、EV+4、EV+3、EV+2、EV+1として明るさを合わせます。露出以外は全く補正していない状態です。

カメラ:ニコンD750、レンズ:Samyang 14mm f2.8
設定:シャッタースピード25秒、絞りf2.8

ISO200の露出補正前&補正後の比較

ISO200で星景を撮影すると露出アンダーでほとんど真っ暗な状態ですが、LightroomでEVを5段分明るくしてみると驚きの復元力で天の川が見えるようになりました。

ISO200露出補正前ISO200で5段分露出補正後

ISO6400とISO200のEV+5で露出補正後の比較

パッと見あまり違いが無いように見えますが、ISO200の方は景色部分は色むらが目立ちノイズの量も若干増えている印象です。

ISO200で5段分露出補正後ISO6400
ISO200の色むら

ISO200の補正アリ画像の左下の暗い景色部分は不自然な色むらが目立つ

ISO6400のノイズ

一方のISO6400の画像の左下の暗い景色部分は色むらは殆どない

ISO200、400、800、1600、3200、6400の等倍で比較

星空の一部を等倍で切り出して比較してみました。ISO200で撮影した画像をLightroomで5段分露出を補正してもノイズ量は他と比べても同じように見えます。

ISO InvarianceテストをニコンD750で

ニコンD750でISO Invarianceテストの比較

景色部分と比較する星空部分は星の光があり明るいのでISO200でもISO6400でもノイズ量はあまり変わらないように見えます。

常用ISO感度範囲内ならダイナミックレンジを最大限に使えるので問題ないのですが、拡張ISOの領域の場合はノイズ量が増えるので注意が必要です。

残念なテスト結果でした

ニコンD750でISO invarianceのテストを自分でしてみた結果、海外の記事に載っていたようなほぼ同じような結果にはならず、ISO感度を下げ過ぎてしまうと現像段階で露出補正すると色むらが出てノイズ量も増えている様な気がしました。テスト環境が真っ暗で過酷な状況だったので、暗部に差が出たのではないかと思います。

ヒストグラムを比較すると分かるのですが、ISO200の画像は殆ど黒つぶれ状態、一方のISO6400は黒つぶれしてない状態なので、RAWデータでの色情報量に差がある事が分かります。ファイルサイズはISO6400の方が容量が多いという事から違いは明らかです。

ヒストグラムを比較

ヒストグラムの違いは明らか!

世間ではISO Invarianceとザワついているようですが、少なくともD750はちょっと微妙な気がしました。

現像時の露出補正で完全に同じ結果になるかと言うと、微妙に違ったりするので、現像時に手間がかかるのに無理に低感度のISOで星空や星景を撮影する必要はないと思います。

今まで通りの星空や星景影方法で、露出アンダー気味だったらLightroomで補正すれば良いだけの事だと思います。

ISO Invarianceと言われているカメラの機種

すべてのカメラがISO Invarianceという訳ではなく、最近の新し目のカメラがISO Invarianceが主流になりつつあると言われています。ISO Invarianceカメラと言われているのは、ニコンD750やD810、キャノンでは5D Mark IVなどですが、すべてのISOが完全に同じノイズ量かと言うと微妙な違いもあるのが現状のようです。

ISO Invarianceではない機種は、キャノン6Dや5D Mark Ⅲなどがあり、どちらにも当てはまらない機種も存在しているようです

ネットで調べるなり自分でテストするなりして判断してみてください。

そもそもノイズはどうして発生するのか

結論を言うと、センサーに届く光の量が少ないとノイズ量が増えるので、ノイズを減らすには光の量を増やさなければいけません。一番低い感度で撮影しても暗い部分は光が少ない為ノイズが発生しやすくなります。

単純にノイズ量を減らすにはシャッタースピードを長くしたり、絞りを出来るだけ開放にして光を多く取り込むしかありません。